早期退職・アーリーリタイアしたものにとって、何といっても怖いのがインフレ。
どれだか、インフレが怖いものか、実際にリタイアする為の必要な資産額を、インフレ率を変えて計算してみます。
尚、本ブログでは幾度となく書いているように、必要な資産額は、それぞれの方によって大きく異なります。ここで示す結果は、あくまで一例に過ぎないという事に注意して下さい。
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前提条件
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50才で退職、65才から公的年金収入のみ。(退職後、年金受給開始までは無収入)
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夫婦2人、ともに85歳まで生きると仮定して、50才退職時の必要な資産額を計算。
- 生活保険文化センターの「平成25年度生活保障に関する調査<<速報版>>」のデータを参考にし、夫婦2人の生活費は月額22.0万円、年額264万円とする。
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厚生労働省が公表している資料によると平成28年度の厚生年金の支給額は、夫が平均的収入(賞与込みで月額42.8万円)で40年間就業、妻専業主婦の場合で、月額 221,504円 (基礎年金を含む夫婦合わせた額)となっています。年額266万円。これに、早期退職した分、厚生年金が減額されることを考慮し、年額238万円とした。さらに、これを夫婦で適当に振り分け、それぞれの税金も考慮している。
- 資産はインフレ率と同等の年利で運用する。
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公的年金は、インフレ率にマクロ経済スライド調整率を引いた分、変動するとする。
*マクロ経済スライドというのは、例えば2%のインフレがあったとしても、年金は2%増えるのではなく、インフレ率からスライド調整率を引いた分しか年金が増えない仕組みの事です。
n年後の年金額 = 現在の年金見込額 x (1 + インフレ率 - スライド調整率)n
*正確な式ではありませんが、これで計算しても大きな違いにはなりません。
*インフレ率=物価変動率=賃金変動率とします。 -
スライド調整率は1.3%とする。
50才退職時に必要な資産額
参考までにマクロ経済スライドが発動されなかった場合も()内に示します。
インフレ率0% 5,200万円(*) (マクロ経済スライド発動無3,800万円)
インフレ率2% 5,400万円 (マクロ経済スライド発動無4,000万円)
インフレ率4% 5,700万円 (マクロ経済スライド発動無4,300万円)
インフレ率6% 6,100万円 (マクロ経済スライド発動無4,700万円)
(*)現在の仕組みでは、インフレ率が小さい場合(スライド調整率より小)、年金受給額が前年比マイナスにはなりませんし、インフレ率がマイナス、つまりデフレ時はマクロ経済スライドは発動されません。ただし、ここでは、インフレ率0%時でも、スライド調整率分、年金受給額が減額されると仮定しました。
上述のように、現在の仕組みでは、インフレ率0%ではマクロ経済スライドが発動されませんので、必要な資産額は3,800万円。それに対し、インフレ率2%だと、マクロ経済スライドが発動されて5,400万円。やはりインフレの影響が大きく出てきています。
一方で、インフレ率2~6%と変えてみても、思ったよりインフレ率の影響は、そんなに大きくないですね。
結局、インフレが怖いというよりも、インフレ時の年金額の増大を抑えるマクロ経済スライドが怖いという事です。
マクロ経済スライドの発動により(スライド調整率=1.3%と仮定)、50才退職時に必要な資産額は1,400万円増えてしまいます。
さらに、今回は、資産をインフレ率と同じ年利で運用するという前提で計算している事にも注意が必要です。このあたりの影響は下記記事にまとめました。