大江英樹著「投資賢者の心理学」を読みました。
著者は元野村證券社員。
「だいすけ」が読む投資本は、主にバリバリのインデックス投資本、とにかく何があっても定額積立、そしてホールドといった内容のものが多いのですが、本書は、投資全般において間違いやすい、錯覚しやすい、いくつかの思考・行動を例にとり、「行動経済学」をもとに解説された、ちょっと趣向の異なる本です。
いくつか印象に残ったところを紹介します。
スポンサーリンク
定期預金ではインフレに対応できないという勘違い
良く投資のセールスで聞く言葉です。
「だいすけ」も実際に検証した事があるのですが、本書には1951年~2015年という長期のデータが掲載されています。
いくつかの投資本・ブログで「昔は預金でも良かったけど、これからは投資しないとダメ」と書かれていたりしますが、「だいすけ」はそんな事はないと思っています。
今はマイナス金利政策で強引にインフレに導こうとしており、一時的に預金金利がインフレ率を下回るケースも出てくるかもしれませんが、これも正常な状態になれば、預金金利が上回ると信じてます。まして過去のインフレ時には存在しなかった高金利のネット銀行・支店もあるわけですし。
勿論、投資サイトを運営している「だいすけ」ですので投資にも肯定的です。ただ、守りの運用(=定期預金など)と攻めの運用(=投資)のバランスが大事。著者の言葉を借りれば、
「インフレが来る、危ない!」という文句に乗せられて強迫観念で慌てて投資を始めるべきではありません
という事です。
持たざるリスクという勘違い
「資金があるならすぐに投資にまわすべき。機会損失、持たないリスクにつながる。」という意見もあります。
しかし、著者は、これもバッサリと切捨て、
「持たざるリスク」というのは個人投資家にはほとんど考える必要はありません。「持たざるリスク」があるのは、他人のお金を預かって運用する仕事をしている人
~中略~
個人の場合は他の人との相対比較ではなく、自分が儲かるか損するかという絶対評価です。
確かにこれも一理あるなと納得。
特に、定収入がないリタイア後の投資にとっては大切な事かと思います。
そりゃ、いくらでも儲かるに越したことはないですが、そこで無理をしてはいけない。今の株価水準が高いと思えば買わなきゃいい、もし、そのまま上がり続けたとしたら、その時は、残念だったと素直に諦める事です。
ただ、割高・割安を判断するのは難しいですけど・・・
みんなどうしてる? 人にアドバイスを求める心理
人間は誰しも「後悔回避・損失回避」を求める気持がありますし、「情報負荷による思考停止」によって難しい判断を自分でおこなうことを避けたい気持ちになりがちだからです。ついつい人に投資判断の決定を委ねてしまう事は往々にしてあり得る事です。
著書の中にありますが、自分の心の中では既に決めているのに、それを証券会社の営業マンに後押しして欲しいという心理。
良く、投資ブログで、読者からの投資相談に回答するといった類のものがありますが、いつも疑問に思うのが、この相談した人って、ブログ主の回答の通り投資するのだろうか、って事。それとも上記例のように後押しして欲しいだけ?
これって、別に質問まではしないとしても、投資本や投資ブログを読むうえで重要な事かと思います。
ある投資ブログを読み続けていると、そのブログ主の投資方針が全て正しく、その通りに投資していると必ず儲かるような錯覚に陥る事があります。どこの誰が書いているかも分からないのに。
「だいすけ」自身も、自分で投資ブログを運営しつつ、他の方のブログも良く読んでいますが、少なからず影響を受ける事もあります。
だけど、やはり自分自身でちゃんと理解し納得する事が重要。参考にはするけど、決断は自分でという投資の原則を忘れちゃダメですね。
投資だけではなく、こういったアーリーリタイア・ブログもそうかな。
アーリーリタイア、そして楽しい生活を満喫してるブログを見たら、「お、自分もやってみようかな」という気になってしまうかもしれません。
だけど、一方でアーリーリタイアに失敗して再就職した方も多い筈。そういう方はブログなんてやってないですから。
投資もアーリーリタイアも、ブログは参考にしても、最終的な判断はご自分の責任で!
ちょっと話が脱線しましたが、インデックス投資家、個別銘柄の株式投資家にかかわらず、おすすめの一冊です。
そして、アーリーリタイアや定年退職してから投資デビューしようという方にも是非読んでもらいたい本です。